2002/07/22

キーちゃんは2個目の卵を獣医さんに出してもらいました。1個目の時は異常に大きくいびつな卵で難産だったのですけれど、今回は普通サイズ(小指の先ほど)の可愛らしい卵でした。ただし、キーちゃんの骨盤が広がらなくて詰まっていたという次第。

その獣医は、連休明けということで大混雑でした。私が待っている間に、犬6匹、猫2匹、カラス1羽、セキセイインコ1羽(キーちゃん)、幼児一人が入れ替わり立ち替わり入ってきています。診察室に入る前にはぶるぶる震えていたプードルが、予防注射を終え、けろっとした顔で出てきたり、羽が折れて飛べないカラスは診察室で大暴れしていたり、幼児が転んで大泣きしているところを飼い犬に慰められていたり、黒い老描が飼い主の膝の上で、目を奪うほど印象的な金属光沢を放つ薄緑(薄金)の目を見開いて隣の犬を観察していたりと、なかなか愉快な光景です。

読書:宮崎市定『アジア史論』(1日目。かの宮崎先生でさえ、東南アジア史という概念はなかったようです。)

2002/07/21

セキセイインコのキーちゃんがまたも卵詰まりの予兆です。かなりしんどそうなので、明日朝一番に獣医に連れて行かないと‥‥会社は半休しかないでしょう。

平野啓一郎『日蝕』を立ち読みしました。私的に不可な作品でした。まずスタイルとしての文章が中途半端であるということが第一点。漢字とルビを視覚的に多用した擬古文調なのに現代仮名遣いなので、非常に読みにくいのです。いっそ全部旧仮名遣いにしてくれた方がどれだけ韻律を含んだ美しい文章になったかしれません。

そして題材です。努力は認めましょう。中世神学、異端、魔女や錬金術やらは、私はこういうのが大好きです。しかし、この作品は素材の重みの割に安直な結論に落ち着いてしまっていました。物語としてはスマートですが、この物語における思索はごくありふれたもの。一時期話題になったようなパクリ小説ではないと思いますが、同じ中世物小説としては大学生にボルヘスやエーコ並のレベルはまだ無理だったということでしょう。

物語として完成されてしまったので、それ以上の奥行きが見込めない作品ですね。まぁ、次回作『一月物語』でどうこの作家が化けたかは文庫化したときに確認しましょうか。

読書:パングボーン『オブザーバーの鏡』(2日目。私的にいまいち。)

2002/07/20

SFからみで、いろいろ創作についての意見に触れる機会が多い一週間。今日はSF関係の集まりに参加してきました。SFとファン創作というお題で、お茶を飲み飲み、4時間ほど話をしました。

過日、とあるジュニア小説雑誌(笑)に眉村卓と瀬名秀明の対談が載っていたので、立ち読みしています。投稿の基本から、小説家志望者は何をすべきかまで、短い対談記事ながらも情報が詰まっていました。これから小説を書いて、賞に応募したいという人には一読をお奨めします。“本を100%読む人は120%読め。100%は好きな本でもいいけれど、残りの20%は食わず嫌いな本、興味のない分野の本を読め”という提言には賛成です。世界が広がって損はないし、いい本でも、悪い本でも、好きになった本でも、嫌いになった本でも、それについて自分で分析整理するならば、必ず自分の肥やしになりますから。とは言っても私自身は、そういう20%な本やジャンルはあまりない‥‥芸能人の告白本くらいか。

Gifは今ではライセンスをもったソフトで生成しないと、ライセンス違反になってしまって法律手段に訴えられるそう。で、Gifに引き続き、Jpegにまで特許問題が浮上しているらしい。自分のサイトにJpeg画像を使うと「ライセンス料を払え~、払わなければ訴えるぜぇ」というメールが来る、なんて事態はごめん被りたいです。マイクロソフトやアドビの製品は使わないという選択ができますが、画像は使わないわけにはいきませんからねぇ。非道いものです。

NHKで放映されたアニメの『老人と海』は良かった。光に透ける船の帆、はじける水、海面にゆれる老人の影。東欧・ロシアアニメの系譜をひく一作。監督一人でガラス板に指を使って描いたという油絵風のタッチ、構図、動きが非常に美しいです。

2002/07/19

浦島太郎続報(^^;)。浦島太郎によく似た話がベトナムばかりでなく中国やケルトにもありました。 民俗学や文学その他の学問では、全く関連性のない地域で共通のモチーフを使った民話が多数あるそうで、浦島太郎ものも「物語の粗型のひとつ」という位置付けのようです。“異界の住人との結婚”、“異界に行って帰ってきたら何百年も経っていた”、“禁忌を破って罰を受ける”等々。奥が深いです、浦島太郎。

懐中時計は既に2度、時を止めてくれました。 まだ一日にどれくらいゼンマイを巻けばいいのか加減が解らず、時計を取り出すたびに止まってやしないかと冷や冷やしています。

購入:小川未明『小川未明童話集』(「赤いろうそくと人魚」「野ばら」。懐かしいなぁ。) 読書:パングボーン『オブザーバーの鏡』(1日目。)

2002/07/18

同人誌入稿完了。またもへまをやって、トンボのサイズを間違え、ファーストフード店で原稿20頁分張り直しという、武勇談をうち立ててしまいました。恥だ‥‥。

つーことで、またもベトナムの本です。ちょっと面白い漢文小説を5編、見繕って読み下してみました。

読書:冨田健次『ベトナム語はじめての一歩前』(2日目。一歩後。)

2002/07/17

ふと興味が湧いたので「浦島太郎」について検索。“Từ Thức”というベトナムの民話が浦島太郎のプロットにそっくりだったので。

浦島太郎の原型は『風土記』だそうで、その内容は今の「浦島太郎」よりも“Từ Thức”の方に瓜二つです。ただ、まだこの関連について語っているサイトは見つからない。一方が一方のルーツなのか、はたまた共通の粗型があるのか‥‥気になります。“Từ Thức”自身のルーツも含めて、もう少し地道に調べよう。

読書:冨田健次『ベトナム語はじめての一歩前』(1日目。一歩前?)

2002/07/16

書店では「きれい」「キレイ」「綺麗」の単語が沢山。「きれい」というのは20代女性が頻繁に使う単語なんだそうです。そんなに使っちゃこの言葉がすり切れますぜ‥‥ま、もう既に食傷気味なんですけれど。

「きれい」な理由を書かないで連発するのは印税を取る側としては怠慢でしょう。書き手が奇麗だと感じたことというのは個人的な体験なんですから、もっとちゃんと書いてあげないと読者は解ってくれないと思います。

台風、あっという間に行っちゃいましたなぁ。

読書:『近世日越交流史』(4日目。読了)

2002/07/15

ここ数日の暑さであせもが大量発疹中‥‥と書くと、ぶちぶちしていてかなり気持ち悪いなぁ。私の場合、ストレスがたまると、体内で生成される炎症物質が血管を通じて皮膚の薄いところから吹き出るという、厄介な体質でして、いま手の甲が凄いことになっています。とうとう今年も塗り薬の出番ですな。

明日は通勤に台風直撃との予報です。大冒険の予感(笑)。

読書:『近世日越交流史』(3日目。)

2002/07/14

東京女○医大の医療ミス隠匿についてかまびすしい報道がなされています。私も一般よりは少ーしだけ事件に近しいので、いろいろ話は聞いていますが、一方的に東京女○医大側が悪役であるかのような報道には首を傾げます。明らかに責任は大学側にあるのは間違いがないでしょう。ただし、何故この事件が起きたのかという分析する視点の無い報道が多いようです。

医療事情に詳しくない私でも、入ってくる情報を整理して、ひとつだけ解ったことがありました。東京女○医大は国内では珍しく、男女対等で学閥色のない名門大学病院だということです。腕は良い、ただし学閥から外れてしまった、あるいは束縛されたくない医者が集まってくる病院なのです。病院の跡継ぎではないけれど大学病院でのキャリアアップを目指す勤務医にとって、母校を離れてしまうということは選択肢が非常に狭まってしまいます。つまり、ここ東京女○医大でしかキャリアを積むことしか選択できないために、経歴に傷がつくことを恐れる意識が強いようなのです。

ミスをする医者も人間です。絶対に自分は隠さない、と言い切る人間は人間的に未熟、または経験不足だと思っていいでしょう。ミスを隠さなくてはならない事情、ミスを隠すことによって有利な状況がある限り、どんなに非難されても医療ミスの隠匿は発生します。

今回の警察による逮捕は、このような医療ミス隠匿の心理に対する見せしめなのだと思います。関係者の今後を思うと気の毒ですが、必要な措置でした。ただ、指定病院の取り消しは、治療を受けている難病の患者にとっては保険の優遇措置が受けられなくなるということなので、早いところ再指定すべきだと思います。保険の優遇無くして莫大な治療費を出せる患者なんて、決して多くはないのですから。

東京女○医大は患者ばかりでなく患者の家族も心理的にケアしてくれる、基本的に誠意のある大学病院なので是非立て直してもらいたいです。父の末期癌治療に尽力してくれ、泣いてくれた東京女○医大のスタッフに感謝している一個人として。

とうとう懐中時計を買いました。

店員に言わせれば「金メッキなのでお安め」とのこと。もちろんボーナスを当て込んでいます(笑)。TISSOT(ティソ)というスイスの有名メーカーで、シノワイズ(中国風)・モデルだそうです。よく解らないけれど私の趣味と目的に合っていました。念願の機械式時計で、裏蓋を開けるとスケルトンになっており、内部の構造を見ることができます。文字盤はあくまでシンプルに、秒針のあるところが気に入っています。職業上プログラムの動作時間をはかることもあるので、秒針は譲れない点の一つでした。もちろん嬉しいおまけとして、ねじ巻きもついています。ちょっと吃驚したのは時計の箱。そのままジュエリーボックスに使えそうな木製の箱でした。さすがはブランド物。もちろん、長く使えそうなものを選びました。耳をすますと、ち・ち・ち・ち、という心地よい時を刻む音が聞こえます。

2002/07/13

本日はお盆で、お坊さんがやってきました。地方の住職さんですが、毎年来てくれるのですっかり顔なじみです。今回判明したのは相当の花好きだったこと。我が家のあるマンションの混沌とした花壇をあなたこなたとのぞいて回っていました。

読書:『近世日越交流史』(2日目。)