『ベトナムから来たもう一人のラストエンペラー』という本が出ているそうです。著者の森達也は、著作や映像作品こそ立ち読みや評論でしか知りませんでしたが、「オウムから見た日本社会」や「放送禁止処分になった歌」など題材の選び方が面白いなぁ、と思った記憶がある人物です。今回のこれはどうやらクオンデ侯のルポタージュらしく、面白い目の付け所だと思います(“ラストエンペラー”はまゆつば的誇大表現ですが)。 クオンデ侯は19末~20世紀初の東遊運動の盟主として、妻子をベトナムにおいて日本にきた人物。東遊運動とは、ざっくりいうと脱植民地をめざしてベトナム人の若者が日本へ留学した運動のことです。結局フランスの圧力で日本がベトナム人留学生を取り締まり始め、この運動は挫折しました。で、この挫折でクオンデ侯はベトナムに帰れず、結局日本で寂しく没したのですが、太平洋戦争中の仏印処理後に傀儡国王として担ぎ出されそうになったりもしています(侯が固辞したらしい)。買って読んでみましょうかねぇ。
読書:ギンズブルグ『ベナンダンティ』(8日目。注釈に突入)