日本が戦争に負けた日に、何故かベトナム独立の経緯をベトナム人留学生である語学の先生に講釈している状況に陥りました。あれ?
それは良いとして、日本軍政下のベトナム大飢饉の一因には「日本人の(本来美徳とされる)几帳面さ」があるのかもね、という話に。日本軍はフランスの見逃していた田畑をきっちり測量して、そこに食べられない作物(麻とか)を栽培させたのですが、実はその隠されていた田畑はベトナム人が非常時のために食用作物を栽培していた土地でした(フランスはこの隠し田畑を大して気に留めていなかったらしい)。そして、いざ飢饉というときにはベトナム人に残されていたはずの「いざというときのための食べ物」が「食べられない作物」になってしまっていたという経緯。この飢饉は20世紀で最大の被害者を出した自然災害&人為災害なのですが、殆どの日本人はこのことを知らないんだよね。
ちなみに語学の先生曰く、現在のベトナムでは1945年のベトナム大飢饉の被害者数が700万人と教えられているとのこと(政府の発表では餓死が200万人。餓死者と被害者が違うことに注意、まぁ、記憶違いの可能性も)。
上橋菜穂子の作品が最近ツボです。小説家として卓越した技量が垣間見えることと、史学や文化人類学をやっていると、いろいろと馴染みのある語彙が出てくるので楽しいです。
読書:川上憲人・橋本英樹・小林廉毅 編『社会格差と健康』(5日目)。