2005/01/10

朝方、実家の母から電話。

「ポチョがね、かごの下にうずくまっているのよ」

取り敢えず、この一言で尋常な事態ではないことが分かりました。止まり木にとまることができないセキセイインコは相当弱っているということ。しかし、年初に実家に帰ったときにはピンピンしていた鳥だったので慢性の病気ではないようです。どうしてそうなったかを聞くと、原因はあっさり判明しました。

「2日間、ご飯を食べさせなかったの。今、手の上で食べさせているのだけど」

「‥‥小鳥は1日エサを食べないだけで飢え死にするのは知ってるよね?」

「ここのところ忙しいから、一昨日の朝、エサを替えなくてもすむように2日分たっぷり補充したのだけれど、急いでいてエサ箱をかごの中に戻すのを度忘れしてしまって」

「‥‥うそ‥‥」

つまり本当に丸2日間1粒もエサを食べていないということ。普通なら死んでいます。ポチョは「こんなに痩せていてなんで元気なのか不思議」と獣医に言われるほど貧弱な体格の子ですからなおさらです。

かごの外にある満杯のエサ箱を見ながらポチョは飢えと戦っていたのです。ものぐさするなと喚きたい衝動をぐっと抑えて、母に手の上で食事をさせるのは止めさせました。衰弱した小鳥は体温調節ができなくなるので、暖を求めて人の手にすり寄ってくることがあるのですが、鳥の体温よりも人間の体温の方が低いために余計衰弱させてしまうのです。

もうすでに獣医に連れて行きたくても迂闊に動かせない状態になっています。ポチョにエサを消化できる体力が残っているといいのだけれどと思いつつ、とにかく今できるのは食べさせて、部屋を暖めて寝かせることだからと母に指示して、そのときの電話は終了しました。

12時間たった午後9時現在、止まり木にとまってうつらうつらしているそうです。人の手も普段通り怖がるようになりました。やや事態は好転していますが、油断は禁物です。今はポチョの生命力を信じるしかなさそう。

読書:種村季弘『ビンゲンのヒルデガルトの世界』