韓国に安南李氏という一族がいます。大族ではないのですけれど「安南(ベトナム)」と冠するだけあって、ベトナムの李朝大越国王族の子孫だと称しているのです。これは1960年代に韓国で一躍有名になった話。李朝大越第6代の英宗の子供(李高宗の弟)李龍祥が祖先ということになっています。なんでも陳朝成立後に李氏が弾圧を受けた際、李龍祥の一族が中国に亡命しようとして失敗し、朝鮮半島に流れ着いたとのこと。
で、なんでこんな話を持ち出したかというと、最近大流行の犬の雑誌にこの話が載っていたから。韓国には珍島犬という珍しい犬がいるのですが、それがどうもベトナムの犬に似ている、と言うのですな。その理由を記者は推測し、上記の話に行き着いたというわけ。安南李氏は、まぁ真偽の判断を控えるとしても、状況証拠(名前や韓国へ渡った理由)はイイ感じです。犬に関しては遺伝子調べてみたら面白いかも。
歴史って意外なところから出てきて、意外なところに使われるなぁ、と思う。これが政治に使われると危険極まりありませんが、この程度でしたら牧歌的で楽しめます。
読書:クロード=シュミット『中世の迷信』(4日目、読了。中世ものはやっぱり面白い)