死んだ飼い猫をクローニングして復活させます。というビジネスが早くも出てきているらしい。人間の究極の自己満足なので、気色悪いことおびただしい。それはともかくとして、クローン猫はもちろんオリジナルの記憶を持ちませんから、飼い主を見ても「あんた誰やん?」状態でしょう。飼い主はそれで満足するのでしょうか?
さらには、ぶち猫は決してオリジナルと同じ斑にならないということを、飼い主は納得しなければなりません。猫の斑模様は後天的な形質であり、母猫のお腹の中で完全にランダムに決定されるものなのです。さてさて、これで同じ猫が復活したと言い切れるのでしょうか。無理。同じものは決して作れず、別の個体の猫にすぎないのです。
クローンはコピーじゃないんですよね。敢えて言うなら「可能性」の存在です。そういう方が、夢があっていい。
読書:飛浩隆『象られた力』(3日目。奇麗な作品群でした)